再生医療とは?#
とは、病気やけがなどによって損傷した細胞・組織・臓器の修復や再生を目指す医療です。
再生医療に使われる技術は、だけではありません。例えば、幹細胞・、などから作製した細胞、組織工学、、、細胞から作製した組織など、さまざまな技術が研究されています。
つまり、再生医療=幹細胞治療ではありません。幹細胞治療は、再生医療の手段の一つです。
なぜ幹細胞が再生医療に使われるの?#
幹細胞には大きく2つの特徴があります。
① 能:自分と同じ性質を持つ細胞を増やす能力です。
② 能:一定の条件のもとで、別の種類の細胞へ変化する能力です。
この性質を利用すれば、病気や外傷によって失われた細胞や組織を補ったり、組織が修復される環境を整えたりできる可能性があります。
幹細胞を使った再生医療の基本的な流れ#
幹細胞を利用した治療は、使用する細胞の種類や治療方法によって大きく異なります。一般的な細胞治療をイメージすると、次のような流れになります。
STEP 1 細胞を採取する 患者自身の細胞を使用する場合は、や脂肪組織などから細胞を採取することがあります。一方、ドナー由来の細胞を使用する治療もあります。
STEP 2 細胞を加工・する 採取した細胞を、そのまま使用する場合もあれば、目的に応じて培養・加工する場合もあります。細胞の種類や治療方法によって、必要な工程は異なります。
STEP 3 患者に投与する 細胞を、点滴などによって血管内へ投与する、損傷した部位へ直接投与する、組織として移植するなど、治療目的に応じた方法で投与します。
体内に入った幹細胞は何をするの?#
ここが、幹細胞治療を理解するうえで特に重要なポイントです。幹細胞治療というと、「投与した幹細胞が、傷ついた細胞に変化して組織を作り直す」というイメージを持つかもしれません。
しかし、少なくとも・間葉系間質細胞(MSC)については、それだけでは説明できないことがわかってきています。現在の研究では、大きく次のような作用が考えられています。
① 損傷した組織へ移動する 投与されたMSCの一部は、や組織損傷が起きている場所へ集まる「」と呼ばれる現象を示すことがあります。損傷部位から発せられるさまざまなシグナルと、MSCとの相互作用が関係すると考えられています。ただし、投与した細胞がすべて目的の組織に集まるわけではありません。また、体内での細胞の分布や生存期間は、投与方法や細胞の種類などによって異なります。
② やなどを放出する MSCで特に注目されているのが、細胞からさまざまな物質が分泌される作用です。MSCは、成長因子、サイトカイン、、その他の細胞間シグナル物質などを放出します。これらの物質が周囲の細胞に作用することで、細胞の生存や、血管形成、炎症反応などに影響する可能性があります。このように、細胞が周囲の細胞にシグナルを送る作用を「」と呼びます。
③ 炎症・反応を調節する MSCには、免疫細胞の働きを調節する作用も研究されています。組織が損傷すると、炎症反応が起こります。炎症は傷ついた組織の修復に必要な反応ですが、過剰な炎症が長期間続くと、組織障害につながる場合があります。MSCは、さまざまなシグナルを介して免疫細胞の働きに影響を与え、炎症反応を調節する可能性があります。そのため、MSCによる再生医療では、「細胞を増やす」だけではなく、「組織が修復されやすい環境を整える」という考え方も重要です。
④ を促す可能性がある 損傷した組織の修復には、血液から酸素や栄養を供給することも重要です。MSCが分泌するさまざまな因子には、血管新生に関係するものが含まれることが報告されています。そのため、MSCによる治療では、損傷組織の血流や血管形成をサポートする可能性についても研究されています。
⑤ 傷ついた細胞を直接置き換える可能性 幹細胞には分化能力があるため、投与された細胞が目的とする細胞へ分化し、失われた細胞を補うという考え方もあります。これは特に、特定の細胞を作製して移植するタイプの再生医療で重要です。例えば、iPS細胞などから目的の細胞を作製し、それを患者へ移植する研究が進められています。ただし、MSCについては、投与された細胞が大量に組織へ定着して、そのまま新しい組織を作ることが治療効果の中心であるとは限りません。研究では、MSCの率が低いことや、直接的な細胞置換だけでは治療効果を十分説明できないことが示されています。
幹細胞治療の仕組みを簡単にまとめると#
特に間葉系幹細胞では、① 損傷部位との相互作用、② 成長因子・サイトカインなどの分泌、③ 炎症・免疫反応の調節、④ 血管新生などへの作用、⑤ 一部の細胞への分化など、複数の作用が関係すると考えられています。
もう一歩深めるには#
幹細胞の基礎が分かると、次に気になるのは「その細胞が治療として使われているのか、まだ研究段階なのか」です。同じ「幹細胞」という言葉でも、保険されたものと研究対象のものでは意味が違います。
記事を読み進める際は、カテゴリの「効果と」「安全性とリスク」にも目を通すと、情報の読み方に差が出ます。用語集で分からない言葉を引きながら進めるのもおすすめです。
よくある質問#
Q. このテーマはどこまで確かめられている?
A. 基礎概念は確立していますが、治療への応用は部位や病気で研究段階が異なります。「概念」と「使える治療」は分けて考えてください。
Q. 次に読むべき記事は?
A. カテゴリ内の「効果とエビデンス」「安全性とリスク」に進むと、基礎知識が治療の判断材料に変わります。
